【片づけ】祖母の洋服
今月末、空き家になった祖母の家へ引っ越すために、祖母の家の片づけを進めている。
↓参照
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祖父は私が高校生の時に他界した。
それからずっと、5DKの家に祖母は一人暮らしをしていた。
お裁縫が趣味だった祖母は、パッチワークやぬいぐるみ、編み物や洋裁などなど、たくさんの作品を生み出していた。
そしてその作品が、家中の至る所に散見された。
5DK中の3部屋には壁一面の押入れがある。
私たち孫が泊りに来た時の為に準備された布団。
使わなくなった古い食器類。
祖母の作品たち。
それらがどの押入れにも詰め込まれていた。
中でも量が尋常でなかったものが祖母の洋服だ。
収納は押入れ以外にも箪笥が各部屋に設置されており、その全ての箪笥の中に祖母の洋服がたくさんたくさん入っていたのだ。
祖母はまだ元気にしているが、これだけの量の洋服を全てを着る事は出来ない。
必要な量だけ選別して、残りは資源回収に回すことにした。
40Lのゴミ袋に20袋近くの洋服が出ただろうか。
そのすべての洋服は、驚くほど綺麗な状態のままだった。
おそらく一度も袖を通していない服がほとんどだったのではないだろうか。
母と一緒に袋詰めをしながら、いったいおばあちゃんはどんな気持ちでこれらの洋服を買ったのだろうね、と話していた。
祖母は田舎から嫁いでこの地へやってきた。
近くに知り合いもいない街に一人でやってきたのだ。
近所付き合いが無かったわけではないだろうが、過保護な祖父に護られすぎて、外に友人を作る事もままならなかったのだろう。
一人で出かけることも許されず、家で裁縫をしていたのだ。
裁縫が趣味だったといえ、何年も何十年もやり続けるのはなかなかの事だろう。
きっと心のどこかに淋しさもあったのではないだろうか。
お金だけは不自由なく使う事を許された祖母は、その淋しさを埋めるために洋服を買い続けたのかもしれない。
お洒落をして、友人とランチに行きたかったかもしれない。
一人で温泉に行きたかったかもしれない。
たまには映画だって見たかったかもしれない。
真実は分からない。
全ては私の想像だ。
でも、とても美しい状態で残されたそれらの服を見ると、何とも言えない物悲しさを感じてしまったのだ。
せめてお買い物に行くときくらい、祖母らしい素晴らしい色彩センスのそれらの服を、綺麗に着飾って出掛けたら良かったのに。
祖母の中にはそれすら出来ない何らかの呪縛が、もしかしたらあったのだろうか。
生きている人の物を捨てるのは、なかなかメンタルに来る。
おばあちゃん、ごめんね。
お洋服、捨てさせてもらうね。
1着だけカーディガンを頂いたよ。
これを着て、おばあちゃんの代わりに沢山お出かけしてくるからね。